皆さん、こんにちは。神奈川県横浜市を拠点に、ダクト工事や冷媒配管工事、保温工事などの空調設備工事を手掛けている株式会社エア・キャリアです。
快適な空気環境の維持は、どのような建物においても非常に重要です。新鮮な空気の供給や汚れた空気の排出、そして室温の調節などを確実に行ってこそ、安全かつ快適な環境を作ることができます。そのために設置される管状の設備が「ダクト」です。ここではダクトの役割や、ダクトを構成する部材について解説します。
■ダクトとは?
ダクトとは、気体を運ぶための管のことで、空気調和設備(空調設備)の一種です。「風導管」や「通風管」とも呼ばれ、その名の通り風を導く役割を果たしています。通常は壁の中や天井裏に設置されますが、天井付近などに露出して設置される場合もあるので、見たことがある方も多いでしょう。
ダクトを設置する主な目的は、建物内の換気や室温調節です。オフィスビルや工場、病院、学校、商業施設といった多くの人が利用する施設では、常に新鮮な空気を供給し汚れた空気を排出しないと、快適に過ごすことはできません。また、適切な室温になっていなければ、やはり快適に活動することができず、命に関わることもあります。
そこで活躍するのがダクトです。建物内にダクトを設置して空気の通り道を作ると、新鮮な空気を効率よく取り込み、汚れた空気をスムーズに排出して、清浄な空気環境を維持することができます。空調機器で作った冷気や暖気も、ダクトによって各部屋に送り届けられ、室温がコントロールされています。
さらに、排煙もダクトの重要な役割です。建物内で火災が発生した時、避難中に煙に巻かれてしまい、一酸化炭素中毒などで死亡するケースは少なくありません。しかし、排煙ダクトが設置されていれば、有害な煙を屋外に素早く排出し、二次災害を防いで安全に避難することができます。
つまりダクトは、私たちの快適・健康・安全な生活を守るための設備なのです。普段は目にすることが少ないかもしれませんが、非常に重要な役割を果たしているといえます。
■ダクトの基本部材は3種類+継手
ダクトは流す物体の性質や、建物の形状・環境に合ったものを設置する必要があります。そのため、部材にもいろいろな種類があり、適切なものを選んでダクトが作られます。基本的な部材の種類と特徴を見ていきましょう。
・丸ダクト
丸ダクトは円柱状のダクトです。特に、板状の鋼材をらせん状に巻いて作るダクトは「スパイラルダクト」といいます。
丸ダクトの特徴は、抵抗が少ないので流速が早く、エネルギーロスを最小限に抑えられることです。また、現合加工(部品の寸法を図面で指定せず、製作後に現物をはめ合わせること)にも適しており、寸法の誤差やレイアウト変更にも柔軟に対応できます。このような性質から、サイズや場所を問わず幅広い用途で用いられています。
・角ダクト
角ダクト(矩形ダクト)は四角柱状のダクトです。丸ダクトに比べると納まりがいいのがメリットですが、抵抗が多く流速が遅いことから、一般的には低速ダクトで使われます。角に応力が集中する性質上、材料にはある程度の厚みも必要です。そのため、比較的大きいサイズで用いられます。
また、一般的には規格化されておらず、現場の状況に合わせて設計・製作します。六角形や八角形など、より円に近い形状の方がスムーズに気体を流せますが、複雑な形状のダクトを作るのは難易度が高くコストもかかるので、基本的には四角形のダクトが使われます。
さらに、同じ四角形でも正方形に近い方が抵抗を減らせますが、ダクトは狭い場所に設置することが多く、扁平な形の方が設置しやすくなります。そのため、角ダクトは原則として、アスペクト比(長辺/短辺)が4以下になるように作ります。一般的には、アスペクト比を1.5~2程度に設定します(正方形のアスペクト比は1)。
・オーバルダクト
オーバルダクトは、丸ダクトを押しつぶしたような形状のダクトです。丸ダクトの空気抵抗の少なさと、角ダクトの省スペース性を兼ね備えており、主に狭い天井内などで使用されます。
・継手
参照:深川製作所|カタログ
継手(つぎて)はダクト同士をつなぐパーツです。角度のついたエルボ、90°で枝分かれしたT管、45°で枝分かれしたY管、その2つを組み合わせたTY管など、基本的な形状だけでもいろいろあります。また、丸ダクトと角ダクトを接続するための角丸ダクトや、サイズの違うダクトを接続するためのレジューサー、継手部分が布製のたわみ接手など、実にさまざまな種類の継手が用意されています。
送風時のエネルギーロスを減らすことを考えると、ダクトはなるべくまっすぐ設置するのが理想です。しかし、設置場所の形状が複雑だったり、ダクトの分岐や風の向きの変更が必要だったりするケースは少なくありません。そのため実際の施工では、継手を使って柔軟に現場に対応する必要があります。
■他にもさまざまな用途に合わせたダクト部材があります!
ここまで見てきた基本的な部材以外にも、ダクト用の部材には多くの種類があり、用途に応じて使い分けられています。特定の用途に特化したダクト部材をいくつかご紹介します。
・フレキシブルダクト
フレキシブルダクトは、その名の通り柔軟に曲げることができる蛇腹状のダクトです。形状は円形と四角形の両方があり、通常の丸ダクトや角ダクトでは設置が難しい、複雑な形状の場所でよく利用されます。
流速は曲げ具合次第で変わるため、状況に合わせた調整が必要です。柔軟性のおかげで現合加工にも向いており、主に末端に使われます。ただし、柔軟性がある分強度に欠けるため、固定しにくいのがデメリットです。
・チャンバー・ボックス
チャンバーは、ダクト内に設置する空気の滞留場所です。空気を均一に混ぜたり、均等に分岐させたりする必要がある場合に設置されます。
・スリーブ
スリーブはダクトを通すための筒です。主にコンクリートの壁や床に埋め込まれ、その中にダクトを通します。
・パネル
パネルは、現場で組み立てて作るダクトを作るための部材です。コンパクトな部材の状態で運ぶことができるため、配送効率がいいのが特徴です。
■ダクトの材質
ダクトを設置する時は、材質の選択も重要です。流す気体の性質や設置環境に合わせ、適切な材質を選択する必要があります。主な材質の種類と特徴をご紹介します。
・亜鉛メッキ鋼板
亜鉛メッキ鋼板は、亜鉛メッキの表面処理が施された最もポピュラーな鋼板です。耐食性や耐錆性に優れ、価格や耐久性、施工難易度などのバランスがいいことから、空調ダクトや換気ダクトなど幅広い用途で用いられます。
・ステンレス鋼板
ステンレス鋼板は、クロムを含有する非常にサビにくい鋼板です。サビを防ぎたい場合に使われるのはもちろん、見た目も美しく仕上がるため、外観が重要な場所でよく採用されます。
・ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は、亜鉛とアルミの合金で表面処理を施した鋼板です。耐久性に優れ、主にハイエンドなダクト部材として使われます。
・塩ビコーティング鋼板
塩ビコーティング鋼板は、鋼板をポリ塩化ビニル(PVC)でコーティングしたものです。耐食性や耐久性が高く、水分を多く含む空気や腐食性ガスを流す際に用いられます。
このようにダクトは、室内の空気環境や空調効率に大きく影響する重要な設備です。建物の状況や求められる空調機能は1つ1つ異なるため、ダクト工事の際は適切な部材を選択し、現場に合わせたダクト設計を行う必要があります。専門的な事実を身につけ、人々の生活を支える仕事をしてみたい方は、ダクト工事に携わってみませんか?
エア・キャリアでは、ダクト工事のプロフェッショナルとして、お客様のニーズに合わせた最適なダクトを提案・施工している会社です。空調工事や冷媒配管工事も承っており、快適な環境づくりに貢献しています。
弊社では現在、ダクト工事や空調工事、冷媒配管工事に関心のある方を募集しております。弊社は技術力や経験だけでなく、お客様とのコミュニケーションやチームワークを大切にする社風です。やりがいのある仕事に挑戦したい方、スキルアップしたい方、仲間と一緒に成長していきたい方は、ぜひお気軽にご連絡ください。